[美術館のいろいろなスペース] 美術館ロビー

 文化の森の三館棟にある美術館の2階部分は、主として作品の展覧のために使われていますが、ここで、美術館を訪れた人が最もよく利用し、美術館の玄関としての役割を担っているのがロビーです。

 正面階段かエレベータを利用し、美術館ロビーに足を踏み入れると、まず目につくのが、ヘンリー・ムーアによる〈着衣の横たわる母と子〉というブロンズの作品です。この大きな彫刻が堂々と横たわっているさまは印象深いもので、美術の世界への入りロにふさわしい趣があります。そして、展示室での作品鑑賞の前に、作品と親しむためのウォームアップができるようにもなっているのです。

 ロビーに据えられている掲示板には、企画展のご案内や、美術館が主催する行事についての情報が常に掲出されています。美術館が発行している印刷物を持ち帰っていただけるコーナーもありますし、これまでに開催した展覧会の図録が備えられていますので、近くのベンチに座って読むこともできるようにもなっています。設置された2台のコンピュータでは、展示室で観てきたばかりの作品やその作家について、パンフレットの中にある美術の用語についてなど、わからないことや詳しく知りたいことを、自由に検索することができます。まだ印象が鮮明なうちに、疑問を解決したり、知識を深めたりすることができるというわけです。

 また、アンケートにご協力いただけるように、テーブルが置かれています。お気付きのことなどがありましたら、ご意見をお寄せ下さい。

 美術館ロビーは、さまざまなものや人との出合いを創り出すところです。作品と触れ合った感動をじっくりと温めたり、美術にまつわる知識を深めたりできる、創造的で生き生きとした場であるとともに、誰かと待ち合わせたり、展覧会を見終えた後に休憩できる場でもあります。来館されたときには、このようなたくさんの表情を持つロビー空間をうまく活用していただきたいものです。


徳島県立近代美術館ニュース No.31 Oct.1999
1999年9月
徳島県立近代美術館