徳島県立近代美術館について

ごあいさつ


徳島県立近代美術館は、平成2(1990)年11月、文化の森総合公園の開園とともに開館しました。 文化の森総合公園は、置県100年を経た徳島県が次の一世紀がより輝いたものとなることを願い、「100年のモニュメント」として構想し建設したものです。公園内には本館の他に図書館や博物館、鳥居龍蔵記念博物館、文書館、二十一世紀館が立地し、徳島の文化活動を先導していくシンボルとなっています。
近代美術館はその中にあって、美術を通して豊かな人間性を育む鑑賞の場、学習の場としての役割を担っています。 同時にすぐれた内外の美術作品、あるいは徳島ゆかりの美術作品を収集し、後世に保存、伝承していく役割を果たしています。
開館から20年以上が経ち、開館まもない頃、家族連れや学校の行事で近代美術館を訪ねてくれた子供たちが、今では人の親となり、幼い頃の美術館で楽しかった記憶に導かれ、今度は自分の子供を連れてきてくれる時代がきています。美術の愛好者層は、時代とともに着実に広がりをみせています。
また、開館の数年前から収集が始まった近代美術館のコレクションは、その後も、収集活動を継続し、現在では20世紀以降の美術の一面を鮮やかに切り取るコレクションとして、存在感を見せはじめています。今後も成長を続け、一層の輝きを増やしていくものと信じます。
より多くの皆さまに親しまれ、信頼していただけるよう、さらに活動を充実させてまいりますので、どうかご支援とご協力をお願いいたします。

 

基本理念


徳島県立近代美術館は、地域の文化活動の拠点である文化の森の一員として、特に美術を中心とした県民文化の復興を図ります。

先導し、発信する
未来と世界に目を向け、豊かな人間性を育む場として、展示や教育普及事業などをとおして、近代・現代美術を中心とした文化活動を先導し、芸術文化情報を発信します。

研究し、還元する
近代・現代美術、あるいは徳島にゆかりのある作品や関連資料を調査、研究し、あらゆる美術館活動に活かします。

保存し、伝える
資料収集方針に基づいて収集した貴重な作品や資料を良好な状態で保存し、後世に伝えます。

地域に根ざし、連携する
親しまれる美術館として、ボランティアをはじめとする県民の協働や県民の参加を進めます。 他の文化施設や大学・学校などの教育機関との連携を深め、相乗効果を図り、地域文化の創造性を高めます。

安らぎ、体験する
自然豊かな文化の森で、安らぎとゆとりを満喫し、実物の美術作品にふれる感動や体験のできる場を提供します。

文化の森総合公園 6つの文化施設(図書館、博物館、鳥居龍蔵記念博物館、近代美術館、文書館、二十一世紀館)が一堂に会した総合公園


事業方針


1 資料収集保存事業
資料収集方針
(1)基本方針
1 現代美術の動向を国際的視野に立って把握し、二十一世紀への展望が開けることを課題に国内外の優れた現代絵画・彫刻を中心に収集する。
2 現代美術の背景を理解するために近代美術も併せて収集する。
3 近代以降活躍した徳島ゆかりの作家の作品を収集する。
4 一次資料を理解するために二次資料も併せて収集する。
(2)具体的方針
1 <人間>を主題とする作品を中心に収集する。
2 広い視野に立ち、現代版画を総合的に収集する。

2 調査研究事業
調査研究事業は、全ての美術館活動の基盤であり、日常的、継続的に進めていくものである。なかでも、所蔵作品・作家についての調査研究や徳島ゆかりの作家・作品の基礎調査は、とりわけ重要であり、また、教育的な視点からのアプローチも欠かせない。
その成果は、論文や学会発表にとどまらず、収集、展示、教育普及のそれぞれの美術館事業に活かされていかなければならない。

3 展示事業
(1)所蔵作品展では、定期的な展示替えを行いながら所蔵作品を公開する。できる限り多くの所蔵作品を鑑賞する機会を提供し、展示の新鮮さを維持すると同時に、作品の保護を図るためである。
また、収集方針への理解を容易にするため、原則として収集方針に即した展示とする。
(2)特別展では、原則として近代、現代美術を対象とし、所蔵作品展では紹介しきれない分野や作家、作品を紹介する。様々な美術愛好家の期待に応えるとともに、常に新しい美術館利用者を開拓し続けるため、近代、現代の美術展日本、海外の美術展、徳島ゆかりの美術展、啓蒙的な内容の美術展など多彩な内容の展覧会を期待にも配慮しながらバランスよく開催する。

4 教育普及事業
(1)美術館での作品鑑賞をより豊かにすることを目的として、館事業への理解が深まり、幅広い角度で美術館に親しんでもらえるような催しを開催する。
一般向けの展示解説や講座、制作を体験するワークショップや作家によるトーク、子供向けの鑑賞教室などを行い、多様な学習機会を提供する。また、県内各地で移動展を行い、鑑賞の場を提供する。
(2)県内全ての児童生徒に鑑賞の楽しさを届けることを目的として、学校教育との連携を進める。
授業や遠足による美術館利用の促進、学芸員による解説や授業の実施、教員や大学との連携による鑑賞教材の開発と実践などを通して、美術館と学校を結ぶ鑑賞教育の裾野を広げていく。
(3)子供から大人まで、より多くの人々が美術館で楽しく過ごすことのできる、親しめる美術館となることを目的として、美術館ボランティアによる県民との協働を推進する。
ボランティアが、独立した自主的な組織運営が可能になるようにサポートし、所蔵作品展に関連した独自のイベントの企画・実施をはじめとして、美術館を取り巻く多様化するニーズや課題に幅広く対応していく協働体制づくりを行う。