〒770-8070
徳島市八万町向寺山
文化の森総合公園内
・徳島県立近代美術館
TEL: 088-668-1088
FAX: 088-668-7198
・徳島県立二十一世紀館
TEL: 088-668-1111
審査員 講評
審査員のうちで表彰式(平成24年1月23日)に出席いただいた方による講評の概要です。
<展示部門>
  • 森惠子 (審査委員長・徳島県立近代美術館長)
  •  それでは、皆様方の受賞理由を発表させて頂きます。
    審査員みんなで集まりまして、約2時間かけて協議しました。いろいろと意見もあって、なかなか大変でしたが、最終的に審査員の全員一致で、今回の受賞者を決定させて頂きました。

    まず、グランプリのきゃしーさん。
    創作の熱気やエネルギーを感じる作品で、観る者の創作意欲もかき立てれれます。与えられたスペースをうまく活かしてまとめあげた作品からは、描くことの楽しさがあふれています、というのが受賞理由です。

    準グランプリの、KESHIHAN洞 J子さんにつきましては、
    独特のユーモアのテイストを確かな技術によって、安定感のある表現としていたこと。また、ひょうたんの表現の領域を、明るく楽しいものに拡げたところが評価されました。

    チャレンジ奨励賞の、満壽川愛弓さん、横田典子さん、長嶋友理さんの書道の作品ですけれども、昨年の大震災後の日本社会を見つめる中で、テーマを探り、書の表現方法と和紙の素材感をつよく感じさせる、力強い作品にまとめあげられたことが評価されました。

    (チャレンジ奨励賞の)川久保貴美子さんですが、独自のキャラクターを、壁面へと展開させながら新しい見せ方を探ったこと。今後のさらなる頑張りに期待したい、ということでございました。

    (チャレンジ奨励賞の)落合輝紀さんにつきましては、明快な描線が心地よいこと。また、描きたいものを素直に、思い切りよく描いた点が好ましかった、という評価でございました。

    MIP賞の美馬匠吾(ミマショウゴ)さんですが、思い描いたものをかたちのあるものに創り上げてゆく力をつよく感じました。今後、よりよい方向に伸びてゆく可能性を秘めている、という風に思われました、という評価でございました。

  • 吉田尚行(四国大学教授)
  •  皆さんこんにちは、四国大学の吉田と申します。
    この企画は3年目ですけども、企画された県立近代美術館の館長はじめ学芸員の方に敬意を表しますとともに、いわゆる芸術というものの範ちゅうを超えたような展覧会に出品される勇気をすごいチャレンジ力だと思っており、それについても敬意を表したいと思います。
     今回私が選ばせて頂きました評価の観点は、前回もそうでしたが私自身の経験から、素材にどういう風に関わったかとか、それらをどう活かしてその中に自分のメッセージを込めたかという、その辺りがまず1件目です。もう1つは、私がエネルギーを強くうけた作品を選ばせて頂きました。 受賞された方は、おそらくその熱気と共に、次にどう展開していくかという可能性が感じられる作品が選ばれたのではないかと思っております。また今回、私が関心を持っておりましたのは、3月11日以降、表現する方たちがご自身の表現の中にどういう風にそれを含まれたり、あるいは意識されたかというのがひょっとして垣間見れるか関心を持って見させていただきました。
     皆さんのご発展をお祈り申し上げます。

  • 鈴木久人(鳴門教育大学准教授)
  •  鳴門教育大学の鈴木です、よろしくお願いします。
    大変皆さんアイディアあふれて熱気があって、あ、私の専門は平面作品です、平面作品の制作が専門です。ですから1年中制作している訳ですけれども、今回見せて頂いて本当に自分も「あ、もっとやらなければなぁ」というような気持ちにさせて頂く作品が、受賞者の方も含めて皆さん大変たくさんいらっしゃってびっくりしました。 その中で受賞された方を考えてみますと、「展示にそれぞれ統一感があったかなぁ」というところが評価されたのではないかなぁ、と思うところです。
    ですが受賞されなかった方は、ちょっとした違いで受賞者が入れ替わっていた可能性があると僕は思っておりますので、どうぞ来年までもまた頑張ってやってください。

    失礼いたします。

  • 白井宏治(株式会社あわわ出版事業部部長)
  •  「あわわ」の白井です、受賞者の皆さんおめでとうございます。
    非常に楽しく審査をさせていただきました。色んなジャンルの作品があるんだなぁと思いながら拝見させて頂いたんですけど、やはりそうですね、作品から伝わるパワーの優る人が選ばれたのかなという気がします。でも僅差であったとも思いますので、今年選ばれなかった方もぜひ来年も頑張って「チャレンジ」して頂いたらと思います。

  • 安達一樹(徳島県立近代美術館専門学芸員)
  •  県立近代美術館の安達です。展示部門審査員講評の最後の順番なので、他の審査員の皆様が「良かった」というのは聞こえたと思いますし、僅差になったと皆様がおっしゃっていたのも一緒なので、2時間以上審査に時間がかかったというあたりをお話ししたいと思います。

     本当に皆さん頑張って作品を作られていると思います、ではなぜ2時間も審査に時間がかかったかというと、みんな頑張っていて、それ以上、次にくるものをどう判断するかというところでいろいろな意見が出ました。 今回賞を得られた方はその辺りで、本当に一押しですね、一つの〝より〟こだわったというところで抜きん出た人々が選ばれたと私は思っています。ですので、以前の審査員の講評にもありましたけれども、受賞者というのは、たぶんほんのちょっとの差で変わった可能性は十分にあります。 でも、変わった可能性があると言いながら、その一押しができるかできないかというのは、制作を行う上で非常に重要なところだと思いますね。自分のことにこだわって立派なものを作る、そこでこだわっただけで満足してしまって受賞を逃した方もいらっしゃいます。 こだわって作ったものがみんなにどこまで見てもらえるか、伝わるかということも考えて、作品の精度を高めた、展示をした、そういう方がやはり好印象、点が高かったと思います。

     皆様本当にありがとうございました、色々と出品された方、それから受賞された方も、頑張ってこの美術館の催しに参加して頂いていて、美術館の学芸員として嬉しく思います。来年以降また、よりもう一歩ですね、踏み出してより精度の高い芸術性の高い作品が出てくることを期待して、私の講評とさせていただきたいと思います。

    どうもありがとうございました、おめでとうございました。


    <パフォーマンス部門>
  • 細井久雄(徳島県立二十一世紀館館長)
  •  今表彰させて頂きました受賞された皆様につきましての受賞理由と申しましょうか、昨夜、委員の先生方、審査員の先生方とご協議させて頂いてそれを取りまとめた内容を発表させて頂きます。

    グランプリのカタタチサトさんにつきましては、高い技術力に裏打ちされた演技内容は、深い精神性を感じさせ気迫あふれるものでありました。
    ストーリーの構成力の確かさを感じられ、大いに観客を魅了して頂きました。

    次に、準グランプリのPOWER STAR BOYSにつきましては、ひたむきで愛らしさあふれる演技は将来性を感じさせ支持を得ました。
    息の合ったパフォーマンスは踊ることの楽しさに満ちたパワフルなステージで、観客に大いにアピールしたものと思っております。

    続きまして、チャレンジ奨励賞のRootsさんにつきましては、今日まだご出席でございませんが、日頃の練習には決して裏切られないということを強く感じさせるものであって、エンターテインメント性にも優れ観客を大いに楽しませて頂いたものです。

    続きまして、(チャレンジ奨励賞の)へらこい亭一門さんについてでございますが、へらこい亭一門は、抜群の安定感と完成度の高さで評価を修めました。徳島をテーマにした内容も、非常に好ましかったと思います。

    最後に、MIP賞の80歳のチャレンジさんにつきましては、旺盛な好奇心と探究心で同世代に勇気と元気を与えて頂いた。メンバーの構成と、たゆまぬ努力の跡が伺えるチームワークと、細部までのこだわりには意気込みが感じられたものでございます。

    以上、受賞の理由でございます、ありがとうございました。

  • 小西昌幸(北島町立図書館・創世ホール館長)
  •  グランプリの《カタタチサト》さんは、緊迫感に満ちた舞踏を展開されました。解放感に満ちたラストも見事でした。おめでとうございます。

    準グランプリの《POWER STAR BOYS》は、みずみずしい少年二人のピップホップダンスが心をとらえました。

    奨励賞の《へらこい亭一門》は落ち着きと安定感があり、完成度の高さが評価されました。

    もう1つの奨励賞の《Roots》はサッカーボールを扱うパフォーマンスの技量が高度で、厳しい練習の成果に感嘆しました。

    MIP=最も印象に残った賞は《80歳のチャレンジ》のみなさんになりました。審査会では、朗読の発声への評価と共に、パーカッションの青年をどうやって口説いたのだろうかということが話題にのぼりました。

    3月18日に受賞者の方々の発表会がイベントホールで開催されるということですので、楽しみにしたいと思います。

    それから今日は所用のためこの場におられませんが、審査員の福田典彦さんからのご伝言として、二つのグループへの評価の言葉がございますので、私からお伝えします。

    福田さんは《ラクス阿波》の皆さんによるベリーダンスをとても心地よく拝見したこと、皆さんから漂うあでやかな香りに脳内がピンク色に染まりましたとのことであります。私もほぼ同感でございます。

    そしてもう一組《徳島三線サークルゆいまーる》の皆さんの琉球音楽についても、会場全体を和ませる表現力や存在感について、福田さんは評価されていました。

     今年も実に幅広い分野の出場者のパフォーマンスが繰り広げられました。我々としては、全員にグランプリを差し上げたい気持ちでございます。とにかくご出場いただいた18組の皆さんに感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

  • 遊道久代(フリーアナウンサー)
  •  この度受賞をされた皆さん、おめでとうございます。そして、関係者の皆さんおめでとうございます。私は、フリーアナウンサーをしております遊道と申します。
     私も言葉の表現と、そして映像のディレクターを生業としておりますので、一表現者の一人として昨日の皆様のステージを本当に、五感をいっぱいに刺激を頂きながら、体感させて頂きました。 本日は、本当に皆様にグランプリを差し上げたいような気持ちです。それでは、この場をお借りして私の所感を述べさせて頂きます

     まず、グランプリのカタタさんは、心技一体と申しましょうか、ゆっくりした動きだからこそわかる鍛え抜かれた筋力、又そのための日頃されていらっしゃるであろう鍛錬がすごく伝わってきました。それは審査員の間でも話題になった程でした。 そして私はその高い精神性が、非日常的なまでのえも言われぬ空気感を創られていたたのが素晴らしいと思いました。本当におめでとうございます。

    そしてお2人、POWER STAR BOYS、魅力的なBOYSパワーに女性陣もメロメロといった感じでした(笑)とても将来性を感じたのは言うまでもありません。おめでとうございます。

    それから、Rootsさんは、まだ徳島ではすごく競技人口が少ないと言われている競技を、これから広めたいというご本人のお気持ちや将来性を審査員一同高く評価されていらっしゃいました。

    そしてへらこい亭一門さんは、完成度の高さ安定感、そして郷土色豊かなエンターテインメント、これからますますがんばって頂きたいと思います。

    そして80歳のチャレンジ、大滝さん、そして皆様、本当に同年代の皆様にも元気や勇気、何かチャレンジできるんじゃないかというパワーをお与えになられたのではないかと思います。衣装であったりとか細部にこだわったトータル表現のこだわりにもすごく感服いたしました。

    今回も、最初から最後まで時には和んだり、泣きそうになったり、様々な感動を頂いたり、学ばせて頂く事ばかりでした。例えば、皿回しをされていました月見かっぱさん、親しみ度バツグンでした。それからロックに阿波踊りのサウンドを取り入れられましたawanoaさんは斬新さが印象的でした。 そしてカワイイ女の子達がひたむきなキラキラとした目の輝きでとパワフルなパフォーマンスで魅了してくださったJAM FLAVOR FAMILYさん、それぞれ皆さん本当に自分の好きなことにチャレンジして人生を歩んでいくというパワーをすっごい頂きました。

     私も初回からこのチャレンジ芸術祭には関わらせて頂いているんですが、年々より幅広いジャンルになり、熱い思いを表現するために これまで1年間積み上げられてきた皆様の鍛錬にすごく感服を致しております。
    今回残念ながら受賞を逃された方も、今回このステージに立たれて何か次のチャレンジできると思ったことを見つけて頂いたり、昨年も同じ事を申し上げかも知れませんが、会場にお越し頂いた皆様も、このチャレンジ芸術祭をきっかけに、人生のチャレンジを見出し、トライして頂き、今後どんどん、さらに活動を広げて頂きたいと思います。

     徳島の文化の発展のためにも、きっときっと皆さんのこれからのご精進がきっと花開く時が来ると思いますので、頑張って頂きたいと思っております。本日はありがとうございました。

  • 武市典子(株式会社メディコム SALALA編集長)
  •  受賞されました皆様本当におめでとうございます、また参加されました方、来場者の皆さんどうもありがとうございます。
    「SALALA」の武市と申します。
     私、今回のパフォーマンスの審査3回させて頂いてるんですが、9時45分に始まり本当にあっという間に時間が過ぎていきました。今年に関しましては、本当に1つ1つのパフォーマンス作品から発せられる熱量というのが、一番前で見させて頂いててすごく伝わって来るのを感じました。またその表現する視線に関しましても、皆さんすごく素直にまっすぐにストレートに、されたいことを表現されていたかと思います。で、またそれが熱量につながっていったいう風に感じています。また審査に当たりましては、観客の方への視点やアプローチの仕方というところも受賞に関係していると私は思います。少しずつ、所感ではありますが受賞された方以外の方もコメントを述べさせて頂きます。

    まず、なでしこさんなんですけど、たたずまい…歌われているお声とかが曲と一体感がありまして、暖かさとか、ホッとするような、包まれるような気持ちになりました。
    これは、なでしこさんが大きく人の心を感動させたいというお気持ちから生まれた発表だったと思います。

    次にラクス阿波、ベリーダンスのグループについてですが、男性陣はセクシーさとかそういったところにも仰っていたんですけれども…あ、もちろんセクシーさや女性性というのは世の中を元気にするものなので私もすばらしいなと思っているんですが…今後藍染の衣装を取り入れたりとか、徳島らしさを取り入れた発表をしていきたいという意欲にあふれているところにチャレンジを感じ、やはり徳島の女性はすごいなと改めて思いました。

    朗読とギターのチョコレートたるとさんについて、今回朗読文の中にギターが出てきましたが、朗読とギターというのがすごくわかりやすく構成されていて、また他の作品もぜひ拝見したいなという気持ちになりました。聞いてる間、映像というよりは絵本のページを1ページずつめくっているようなものが頭の中に流れまして、そういった世界観を創られているのは素晴らしいなと感じました。

    時間のこともありますので個々のコメントは以上とさせて頂きます。

     今回参加されたかわはらスイカさんがパフォーマンスの後、アナウンサーの方に「どうしてパントマイムなのか」と質問され、「特に意味は無くって、ただ教えてもらった時にビビッと来るものがあって続けてます」と答えていらっしゃいました。何か皆さん色んなことをされて、始められたきっかけとか続けられている動機というかあると思うんですけれども、縁のあるものを続けてチャレンジしていること、そして人に見てもらうということはすごく幸せなことだなあという風に感じます。

     芸術やアートというものは、観る人の心を動かす力を持っているものだと思っていますので、そういった伝わってくるものがあるかどうかいうところを基準に審査させて頂きました。

    以上です、どうもありがとうございました。

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