佐藤 陽香

徳島徳島新聞社三好局 記者



  

受賞された皆さん、本当におめでとうございます。
それから、出場された皆様、あらためて素敵なパフォーマンスをありがとうございました。お疲れ様でした。昨年は大雪で三好から出てこられなかったもので、2年ぶりに審査にあたらせてもらいました。前々回にも劣らず、力と情熱のあるパフォーマンスを見せていただき、楽しく審査させていただきました。山口さんに引き続いて、一言ずつ添えさせていただきます。

2年ぶりということで、まず印象に残ったのが、「ラッキー クローバー」の皆さんの成長でした。ステージに出てきた瞬間に“わ、大人になってる、大きくなってる、成長している、背が伸びてる”と驚きましたね。ダンスの精度も上がっている一方で、私が初めて拝見した2年前と同じようにキラキラした笑顔にも魅せられました。特にショウコちゃん、前ラインぎりぎりまでぐんぐんきてくれて、すごくアピールしてくれてありがとうございます。1曲しかなかったのが、ちょっと残念なくらいでした。またぜひ、2曲目3曲目も来年以降に見せてくれると嬉しいです。

それから、同じくらいエネルギーにあふれていたのが、「COLORS」の皆さん。スタート位置に付いた時点からすごく楽しそうな表情が見えていたので、あ、これは面白そうだなって、最初から思わせてもらいました。一曲一曲の中で、一人一人の主役の時間といいますか、見せ場があるというのもとても良かったです。3曲の構成としても、きれいな「I Will Follow Him」から始まって、2曲目の「古い日記」で皆さんのハートをわしづかみ、そして「You Raise Me Up」で綺麗に締めるという構成も練られていたと思います。今回はマイクを通してのパフォーマンス、歌声だったんですけれども、個人的にはぜひ、生声で聞いてみたかったと思いました。メンバーもあと2人いらっしゃるということですので、次は全員での出場をお待ちしております。

トップバッターという重圧の中で、初々しくも楽しませてくださったのが、「八万フラサークル」の皆さんでした。最初はすごく緊張が伝わってきたんですけれども、だんだん自分たちのパフォーマンスや声が出せるようになってきて、2曲目の「シング・シング・シング」なんかは、楽しんで練習してきたんだなっていうのが特に良く伝わってきました。3曲目の「恋ダンス」も自分たちのやりたいことをやっている感じでしたし、2曲目は特にシンヤくんの、腰を低くしてグイーンということろ、かっこよかったです。皆さんの楽しそうな踊り、来年も楽しみにしています。

長年の積み重ねという挑戦の大切さを教えてくださったのが、「笑門亭田楽」さんだと思いました。演題の「阿波狸合戦」もさることなんですけれども、前段部分に徳島の地元ネタを盛り込んでくださったのも、実は審査員の間で評価が高かったところです。現在73歳ということ。講談を始めて18年、落語を始めて13年とお聞きしたんですが、楽しみながらチャレンジし続けるというその姿勢が、ぜひ人生の先輩として、皆さん、出演者の方にも持ち続けていってほしいなと思った次第です。

あえて難しい無音芝居に挑戦された、「いとう優歌」さんは、パフォーマンスをする空間の使い方に一石を投じられた方だと思います。登場時、こちら(中庭)の方からいらっしゃったことにインパクトを感じられた人も多いのではないでしょうか。「チャレンジとくしま芸術祭」そのものに挑戦したイメージがあるともいえますね。ただ、できれば審査員として見させてもらう以上は、審査員から見える位置で演技していただきたかったかな、という部分があったことを添えさせていただきます。

先ほど山口さんもおっしゃっていましたし、以前の講評の中でお伝えしたかもしれないことなんですが。音色や全体のバランス、構成、表現力などテクニカルというか、技術や完成度、クオリティーを上げるというところはポイントです。ただ、それと同時に「自分だけの価値は何か。それを人に伝えたい」という気持ち、「これが私のチャレンジなんだ」という気持ち、そうした個性や工夫も大切だと思って、いつも審査にあたらせていただいています。
毎回皆さん、いろんな分野で挑戦してくださって、楽しませていただいているのは先ほどもお伝えしたとおりですが…でも、もっと、もっと、枠なり殻なりを打ち破ってもいいと思います。規定に引っかかる可能性があるので、これで出場してくださいとおすすめができるわけではないんですが。例えばここで料理をするとか、チャンバラをするとか、15分間で彫刻をするとか、ファンキーというか…想像しえないような分野もあってもいいのではないかと思いました。新しい分野に出てきてほしいというのもありますし、「こんなんでこの場に出てきてもいいの」というような分野の方にも出てきてほしいというのもあります。それから、自分がやっている、極めようとしている分野で、もう一歩進んでみたり、踏み込んでみたり、ということにチャレンジしてほしいという気持ちもあります。

今回大賞に選ばせて頂いた「かぜまーる」さん。委員長の講評にもあったんですが、墨の匂いがよかった。審査員の間で「そういう(墨の匂い)のがあるのはいいよね」という声が聞かれました。何でも、全て芸術になる可能性がありますし、エンターテインメントになる可能性を秘めていると思うんです。だから、五感全部で皆さんが表現して、審査員や観客の皆さんに、五感、第六感まで含めて受け取ってもらえるようなパフォーマンスを、来年もお待ちしております。長々と失礼いたしました。皆さんありがとうございました。