後藤館長写真

後藤 英与

Hideyo Goto

展示部門審査委員長

徳島県立近代美術館長


  

展示部門について審査委員長として講評をも申し上げます。

まず、初めに今年度も多くの応募いただきまして、39組の皆様方のチャレンジ精神に心より敬意を表したいと思います。
例年のことではございますけども、展示部門には絵画、立体造形、写真、工芸、染織、書道、音楽など非常に多岐にわたるジャンルの幅広い作品が出品されておりまして、この中からグランプリを選ぶということは、審査員としては非常にプレッシャーと不安を感じていたところでございます。

本日展示部門の審査員5名は、朝10時からですね、長時間にわたり議論の結果、なんとか審査結果とりをまとまることができまして今回発表できました。 順次、審査結果、内容について講評を申し上げます。

まず、グランプリを受賞されました「Ogra Kentaro」さんの作品でございますけれども、大画面にモノクロに書かれた線が非常にイキイキとしておりまして、パネル分割する構成も面白くインパクトがあり、目を見張るものがあります。見えない自分を探し求めるチャレンジを感じました。激しく訴えかけてくるものがあり、次ももっともっと見せていただきたいなと思いました。

また、二番目の準グランプリ「現代楽器」さんの作品におきましても、インタレクティブな双方向の自由さ、ということで見る人を巻き込んでいる前向きな楽しさを感じました。アイディアや設定の物語性も面白く、制作プロセスに非常に興味があります。他の作品もぜひ見てみたいと思いました。

チャレンジ奨励賞の「オイワイオイワイ●ほりえかずよ」さんの作品ですが、淡い色彩が美しくやわらかな脱力感の中にイキイキとしたものを感じました。徳島をアピールしていこうとするチャレンジについての評価もしたいと思います。

次にチャレンジ奨励賞の「住友知江」さんの作品でございますけれども、麻を使った作品で糸績み(いとうみ)から織るまでの工程、また個人から地域に広げいこうというプロセスが生きる姿に重なって見え、壮大なチャレンジを感じました。徳島にゆかりのある麻という素材に苦労しながらも取り組んでいる点も評価をしたいと思います。

チャレンジ奨励賞の三点目、「山橋大二郎」さんの作品ですが、ご自身の体験と小説の世界を結びつけながらスケッチをかたちに提示していった展示構成が非常に面白く独特な印象で伝わってまいりました。

最後にMIP賞の「トリマー@パパン」さんの作品ですが、社会現象に目を向け、不の部分を世の中に訴えていく難しさに挑んでいました。またそのことを自らの職業の立場から、美術の分野からチャレンジしていく点が非常に印象に残りました。

以上でございます。