チャレンジとくしま2014TOP
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森山 宏昭
森山 宏昭
徳島県立近代美術館館長
Hiroaki Moriyama
 まずは会場の皆さま、今日も寒い中お越し頂きましてまことにありがとうございます。そして受賞された皆さん、本当におめでとうございます。

 今回のパフォーマンス部門は、私の個人的の感想と致しまして女性の皆さんの活躍が際だった今回の芸術祭という印象でした。全体を通して音楽の力をとても感じました。癒しであったり、郷愁であったり、音を奏でる、そして歌を歌う、また、音楽を通して体全体でダンスで表現する、言霊と音楽の力を感じた今回の芸術祭だったと私も個人的に感じています。

 また、選曲に関しても、どんな曲をどういう風にチャレンジして伝えるかということから、みなさんのそれぞれの選曲が今年はとりわけ、審査員の評価が非常に高かったです。

 また、後ほども触れますが、まもなく今年も3.11あの日が来ます。今年のプログラムの中に、やはり被災地への想いであったり、被災された方々への想いを届けるパフォーマンスや、メッセージを込められている方も居りまして、非常に心に響きました。以上が全体の印象です。

 それでは、個別にコメントさせていただきたいと思います。緊張しますね(笑)行きますよ。他の審査員さんも合わせての3人分ですのでがんばります。

 まず、バトンプレイス徳島さん。こちらは、先ほどの委員長からもお話がありましたが、とにかく全体の構成が素晴らしく圧巻だったという事に尽きると思います。技術的な面ももちろんですが、様々な手具に工夫を凝らしたり、ステージで、自分達が今為し得る、出来得る最高のパフォーマンスをしようというチャレンジ精神が、すごく伝わってきました。その一生懸命さに、審査員一同、感動しました。

 私が個人的に思ったのが、多分一番年少かなという小学校1年生のお子さんが、衣装の早変わりの動作も素晴らしかったんですが、衣装を変えたり道具を変えたりするときに、床に散らばっている物をサッと手早く片付けるてきぱきとしている姿が、素晴らしいと感じました。きっと普段から一生懸命そういう風にされているんだなと思った次第です。つまり前で踊っているお姉さんたちの足元の邪魔にならないように、踏んづけてケガをしないようにササッと、布を引いて撤収しているのが、私はすごいなと感動しました。ステージ進行がスムーズに行くようにとの助け合いの心が伝わってきましたよ。これからもそういう心がけでがんばってくださいね。おめでとうございます。

 それからM&Gのお二人は、学生時代からのお友達だそうで、長いご縁ですね。まさにお二人の友情で勝ち得た準グランプリだったということだと感じました。本当におめでとうございます。大好きな曲を大好きなお友達と長く続けていらっしゃる、そして今も成長し続けているという、これこそチャレンジだと思います。マンドリンとギターの音色が、お二人のお人柄を物語っているようで、ハートフルな癒しのステージでした。おめでとうございます。

 そして、スティールパンを演奏されましたPendreのみなさん。毎年この芸術祭では、普段接する機会の少ない色々な楽器に出会える場所でもあり、これも楽しみのひとつですが、今年はこのスティールパンという楽器に出会えて、本当に幸せでした。個人的に私はカリビアン・ミュージック、昔よく聴いていたこともあり、あの軽快な音色はこの楽器で演奏されて居るんだというのを今回初めて知りまして、そんなウレシイ発見もありました。ステージのMCも含めて全体の進行もとても素晴らしかったので、これからチャレンジされる方はその辺もご参考にされてみてはと思います。そして、徳島にこだわった藍染めとか、その辺も素晴らしかったと思います。

 かわっては、チャレンジ奨励賞についてです。

 まず、徳島はっちーさん。今日は普通のお兄さんなんですよね?(笑)これが普段のお姿ですね? 本当に体全体を使ってのパフォーマンス素晴らしかったと思います。エントリー4度目の正直で、本当に初登場で入賞されるなんて、すごいなと思いました。体全体を使ったとてもハードなパフォーマンスなのに、すごく表情が物悲しかったり、ファニーだったりと、繊細でもあり、かつたくましくもあり、その辺りの完成度が高く審査員一同楽しませて頂きました。来年もまた期待したいと思います。

 MIPのヌック ヌックさん。こちらはやっぱり、エントリーの文言にもあったんですが、音楽の持つ楽しさを再認識し、聴いてくださっている方々にも元気になっていただきたいという風にありました。その言葉が示すとおり、音、メロディーを奏でながらエネルギーが発せられているような、そんな印象を受けました。ご年配の女性の方々が体をスウィングさせながら演奏されているのが、心が癒されました。本当にあたたかい優しいMIPだと思っております。ありがとうございます。入退場の演出も審査員一同、演出の妙が素晴らしいという印象を持ちました。おめでとうございます。

それでは今日お見えになっていない審査員3人からお預かりした講評も、合わせて手短かですが頑張ってお伝えして参ります。

 まず、朗読の 凜 のお二人なんですが、お声に非常に審査員一同魅了されました。武市委員からも、安定感と落ち着きというご講評を頂いております。そして私も思ったんですが、二人のお声の相性が大変素晴らしいので、今後色んな作品にチャレンジして頂きたく思います。

 この芸術祭、おなじみの真理&アロハ仲間さんのフラダンスは、震災に向ける優しい想いも伝わってきたステージでした。

 一方、ステージを圧巻させたリンダ・カルメンカさん。阿波女の堂々としたステージぶりが審査員の中でも非常に話題となりました。やっぱり素敵なステージでした。

 ジョージ林&ゴールドフィンガーズさん。総勢22名大勢さんのステージだったんですが、こちらもご年配の方が結構見受けられましたが、一生懸命演奏しながら、歌を楽しむ・・その素晴らしさが伝わってきました。

 オカメインコズさん。昨年とスタイルを変えてのチャレンジでしたね。お疲れさまでした。来年も期待しています。

 吉田美恵子さん。音楽を2回も3回もかけ直して大変なステージだったのですが、来年もぜひ頑張ってください。

 華麗なフラメンコのLas Clavellinas lindasさん。かっこいい阿波女、美しい阿波女、すごく魅了のステージでした。

 高校生のダンスの皆さん。Booomの皆さんは、決めのポーズに男性審査員はノックアウトされたそうです。本当ですよ(笑)。そして私も思ったのですが、指導者の方がいない中で一生懸命自分達の高みを目指して頑張っている姿がチャレンジだと思います。頑張ってください。応援しています。皆さんそう言ってました。

 太極拳の喜多武術培訓中心さん。こちらもパフォーマンス部門ではおなじみの方ですが、今年も伝統武術の心意気、真髄が伝わってきました。

 福田さんが大絶賛されていたB♭(フォークデュオ)の皆さんは、一緒に口ずさめる歌を本当にありがとう!ということで、選曲が素晴らしいというご感想をいただいています。そしてギターの演奏も素晴らしいとご講評頂いています。

 Eri Numberのダンスの皆さん。おしゃれ感、生き生き感、そんなダンスパフォーマンスが素敵でした。

 太極拳グループ「光」のみなさんは、ひょっとしたら初舞台かな?ステージに不慣れな方もいらっしゃるのかなと思ったんですが、一生懸命さが伝わってきました。みなさん健康のためにチャレンジを続けてください。

続いて、小西さんからの講評を代読をさせていただきます。

 北島町の小西昌幸と申します。本日所要のためやむを得ず欠席しますが、このメッセージをどなたかに代読していただきます。

 グランプリのバトンプレイス徳島のダンスは、少女達が威風堂々とした姿で、全編圧倒的なステージ展開をされて実に見事でした。ぶっちぎりの受賞です。おめでとうございました。

 準グランプリのM&Gのお二人は、巧みな演奏技術で、切ないメロディや明るい音楽が心に残りました。

 奨励賞の徳島はっちーさんの大道芸は、私には幻想的なプログレッシヴ・ロックとジャグリングの融合がとても心に残り、感銘を受けました。

 もう1つの奨励賞Pendre(パンドル)の皆さんのスティールパンの演奏は、徳島では殆んどなじみのない中米の珍しい楽器演奏というチャレンジ精神と楽しい演奏が評価されました。

 MIP=最も印象に残った賞のヌック ヌックの皆さんは、オカリナを吹きながらの入場や阿波踊りを奏でながらの退場、祖谷の粉ひき唄での小道具など入念な準備の後がうかがえ、楽しめました。

 以下、個人的な感想をいくつか述べさせていただきます。

  のお2人の宮沢賢治「注文の多い料理店」の朗読は、お声が実にチャーミングであり、うっとりと作品世界にひたらせていただきました。福田さんも胸がときめいたといっておられました。発声や呼吸法など日頃の訓練の賜物(たまもの)と存じます。

 Las Clavellinas Lindasの皆さんのフラメンコは、工夫された構成で、迫力があり、楽しませていただきました。

 Booomの皆さんのダンス、ERI Numberの皆さんのヒップホップダンスは、どちらもはつらつとした若さあふれるものでした。さらに体幹機能などを鍛え、いっそう前進されることを期待しています。

 今年もウクレレ演奏、ハワイアンダンス、太極拳と実に幅広い分野の出場者のパフォーマンスが繰り広げられました。ご出場いただいた17組の皆さんに心から感謝したいと思います。本当にありがとうございました。


 私からは結びと致しまして、今回は5回目の開催ということで、内容もさらに充実し、実に印象的な芸術祭でした。以前パフォーマンス部門にエントリーされていた方が、徳島での公演の機会を得て、今も活躍されていらっしゃいます。その礎となるのが、この芸術祭の舞台であり、発表の場であったり、貴重な場所であることに私も参加させて頂き、喜びを感じています。

 また、昨年出場されていたチョコレートたるとさんが一生懸命今年はマイクのお手伝いのスタッフとして参加されていたり、県民の皆さんが誰でも参加できる、チャレンジできる芸術祭だと思います。この辺りがこのチャレンジ芸術祭ならではの素晴らしい所だと感じています。

 長々とコメントにお付き合いいただき、ありがとうございました。以上です。